ネイルの歴史を知ろう!ネイリストが誕生した経緯をまるっと解説
ネイルは日本でいつ頃誕生したかご存知ですか?
実は、ネイリストの仕事や現在のようなネイルアートの誕生には、まだ50年ほどの歴史しかありません。
しかし世界の歴史に目を向けると、爪を塗ったりケアしたりといったネイルの起源は何千年も前に遡ります。
そこで今回はネイルの歴史について、時代背景とともに解説していきます。
ネイルの歴史
世界のネイルの歴史は、なんと紀元前3000年頃の古代エジプト時代から始まりました。
こちらでは海外におけるネイルの歴史を解説します。
古代エジプト時代
古代エジプトといえば、今も残る壁画や銅像などの美術品から分かるように、ボディペインティングが盛んでした。
そんなボディペイントのひとつとして爪が赤く塗られていたのが、ネイルの起源です。
血や火と同じ色である赤は、生命と保護を意味する神聖な色とされていました。
赤の濃さは位を示しており、王や王妃は真紅のような濃い赤色を塗っていたのに対し、階級の低い者は薄い赤しか塗ってはいけないという決まりもあったほどです。
また、当時ネイルに使用されていたのは「ヘナ(ヘンナ)」という植物の花の汁でした。
魔除け効果があるとして、ネイル・髪の毛・唇・タトゥーなど、身体中に使用されていたことが特徴的です。
なお、ヘナはトリートメント効果があると実証されており、現代でもヘアカラーの染料として使われています。
ギリシャ・ローマ時代
マニキュア・ペディキュアという言葉の起源が誕生したのは、紀元前8世紀のギリシャ・ローマ時代のことです。
上流階級のあいだでは「マヌス・キュア」という名称でネイルが流行しました。
ラテン語 | 読み | 意味 |
manus | マヌス | 手 |
pedis | ペディス | 足 |
cure | キュア | 手入れ |
上記のラテン語から分かるように、当時流行したのはネイルカラーではなく爪の手入れでした。
当時は控えめな生活が望ましく、健康的な美しさに価値を見出していたため、自爪をきれいに見せるお手入れに注目されたようです。
また、この時代はパルテノン神殿やコロッセオのように、左右対称で均衡のとれたものが尊ばれていました。
そんな当時の美の価値観から、爪もすべての長さが整えられた美しさが求められたことも予想されます。
中世ヨーロッパ時代
5世紀から13世紀頃の中世ヨーロッパ時代には、クリームで爪磨きが行われるようになりました。
その起源は、当時生まれたハマムと呼ばれるスチームサウナで、現在ではトルコ式風呂として有名です。
垢すり師がいる場合はマッサージを受けられ、仕上げにクリームを使用した爪磨きを行なっていました。
また、ネイルアートが注目されるようになったのは、14世紀以降の中世ルネサンス時代のことです。
当時はバレエのような舞台芸術が注目されていたため、遠くから見ても分かるような華やかなネイルが施されるようになります。
舞台メイクの一環として取り入れられたことで、ネイルは装飾的なものに変化していきます。
日本のネイル歴史
日本のネイルの歴史は世界よりもやや浅く、爪を染める文化は平安時代から生まれました。
こちらでは平安から平成までの日本のネイル史を解説します。
ネイル文化到来「平安時代」
日本では平安時代から江戸時代にかけて、爪紅や紅花を使った染色が施されました。
爪紅は、ホウセンカとホオズキの葉を揉んだもので爪を染めるもの。
一方の紅花は額や唇の化粧にも使用され、爪には専用の針を使用して塗られていました。
中国や朝鮮半島などの大陸から栽培技術が伝わった後に多用されたといわれています。
なお、昔の日本の化粧で使われた色は赤・白・黒の3色ですが、なかでも赤は生命や血を連想させる特別な意味合いがあります。
古代エジプト時代にも見られたように赤色は世界共通で意味を持つことが多く、各地のネイルの起源となりました。
ネイルに注目度が高まる「昭和」
日本にネイルポリッシュが伝わったのは終戦後のことです。
しかし、戦後まもなくの日本で派手な身なりは受け入れられず、ネイルポリッシュはすぐには普及しませんでした。
そんななか話題になったのが、資生堂が1946年に販売した口紅型のネイルスティックです。
薄付きでナチュラルな仕上がることから、戦後の女性にも受け入れられました。
その後、インパクトのある赤やピンクが受け入れられるようになったのは、服装の欧米化が進んだ1960年代です。
この頃には、伸ばした爪の先を少し尖らせて、形を工夫する人も出てきました。
1970年代になるとディスコが流行し、派手なカラーも取り入れられます。
白やラメ入りなど暖色系以外のカラーが登場し、ネイルカラーのバリエーションが広がりました。
ネイルブームを巻き起こした「平成」
ネイルがカルチャーとして定着し始めたのは1990年代のことです。
1980年代まで、ネイルは高額で手が出しにくいものと思われることが多々ありました。
しかし、アムラーやコギャルブームが到来すると、芸能人や若者からネイルブームが起こります。
アムラーからはピンクやベージュのネイル、コギャルからは派手なネイルが好まれました。
ロングネイルやビジューやストーンを使ったデコ盛りが見られるようになったのもこの時代です。
2000年代はジェルネイルが登場し、フレンチネイルがトレンドに。
フェミニンなデザインが注目されたことで、ネイルをする人が増加しました。
平成はデザインの幅が広がり、個性に合わせてネイルを楽しむようになった時代といえるでしょう。
ネイルの技法と歴史
ネイルは古くから歴史があるものの、マニキュアやジェルネイルの歴史は100年にも及びません。
以下ではネイルの技法に関する歴史をご紹介します。
マニキュア
現在のようなマニキュアは20世紀前半のアメリカで誕生しましたが、その原料になったのはなんと自動車の塗装剤でした。
自動車生産が盛んだったアメリカでは、速乾性の高い自動車用塗料がファッション業界で注目され、爪を彩るマニキュアに進化したのです。
戦後になってから日本に流入し、昭和の女性に徐々に取り入れられるようになりました。
スカルプチュア
スカルプチュアは、アクリル樹脂やジェルを使用して爪を造形することを指します。
現在のようなスカルプチュアの技術が確立されたのは平成に入ってからですが、人工的に爪を長く見せる技術は1970年代に活躍したハリウッドのメイクアップアーティストが生み出しました。
歯科用レジンでつけ爪がつくられたことが始まりで、日本にも1970年代後半には伝わっていたとされています。
その後、ジェルネイルの登場とともに現在のようなスカルプチュア技術が発達しました。
ジェルネイル
ジェルネイルが登場したのはなんと2000年代で、まだ20年前後の歴史しかありません。
当初話題となった「カルジェル」や「バイオジェル」の取り扱いやすさと紫外線で硬化するという仕組みは、人々を驚かせました。
そんなジェルネイルのブームに合わせて、国内ではネイル商材が数多く生産されるようになります。
国産のネイル商材が増えたことで輸入にかかっていたコストが削減され、サロンの施術費用が安価になりました。
なお、JNAジェルネイル技能検定試験は2010年から開催され、現在ではネイリストの主要な資格試験のひとつとなっています。
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ネイルの歴史|職業編
ネイルが職業として定着したのは昭和以降の出来事です。
こちらでは、ネイリストやネイルサロンの歴史について解説します。
ネイリスト
実は、日本で馴染みのある「ネイリスト」という呼称は造語で、先駆けとなるアメリカでは「マニキュアリスト」という名称で定着しています。
そんなマニキュアリストが誕生したのは、1970年代のアメリカです。
当時はクリームを使用した手のケアを行っており、ネイルアートはまだ馴染みがありませんでした。
一方、日本でネイリストが生まれたのは、1980年代後半のことです。
1985年に日本ネイリスト協会が設立され、数多くの講習会やセミナーが開催されたことでネイリストが増加しました。
当初はネイルの資格試験はなく、現在も続くJNECネイリスト技能検定試験が初めて行われたのは1997年のことです。
初年度から回数を重ねるごとに開催地が増加し、ネイリストという職業も定着していきました。
ネイリスト技能検定試験は約94万人の受験実績があり、現在では数多くのネイリストが全国で活躍しています。
ネイルサロン
ネイルを専門とするネイルサロンが日本で誕生したのは1980年代で、1970年代は美容院でネイルの施術が行われていました。
当時は海外からネイル用品を輸入しており、日本のサロン数もごくわずかです。
ネイルサロンの施術費用は高額で、一部の富裕層や芸能人しか通うことができませんでした。
しかし、日本ネイリスト協会が誕生し、平成のネイルブームが訪れてからはサロン数が徐々に増加します。
2000年代にジェルネイルがブームになると一気にサロン数が増え、年間約1000店が増加するほどになりました。
2024年現在では、約3万店ほどのネイルサロンが運営されています。
ネイルスクール
日本初のネイルスクールは1980年代に開校されましたが、当初は数が限られていました。
当初、日本ネイリスト協会では美容師向けの講習が行われていましたが、関心のある人が少なかったのです。
しかし、一般の人を対象としたネイル教室が広告で話題になると、ネイルに関心を持つ人が集まるようになりました。
ネイルへの関心が高まるとともにスクール数も増加し、現在では全国各地に多数のネイルスクールが開校されています。
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ネイルの歴史を受け継ぐ現代
ネイルはかつて富の象徴や魔除けの意味が込められていましたが、現在ではアートとして人々の生活を豊かにしています。
マニキュアやジェルネイルは海外で誕生した製品ではありますが、日本では個性的なアート技術が数多く生まれました。
日本人ならではの繊細なアートは海外でも話題となり、外国人アーティストが日本人ネイリストを指名するケースも少なくありません。
日本では現在約12万人のネイリストが活躍しており、人気のネイリストになるためには高い技術が求められるでしょう。
現在では全国各地に多数のネイルスクールがありますが、一流のネイリストを目指すには教育レベルの高い学校を選ぶことも重要です。
確かな技術力を身に着けたい人は、ぜひ一度ネイルスクールシンシアにお問い合わせくださいね。